金色の瞳

彼女と彼女の違いはそれだけだった

あの人に生き写しなこの子を
僕は一体どうしようというのだろう








「あなた、誰なの?」

少女は何も知らない無垢な瞳で問うて来た。
「貴方」どころか「私」も分からなくなっているだろうにと、冷静さに感心する。

真実を告げればどのような顔をするのだろう。想像もつかないが言ってはいけない。見たくもない。

「ねぇ、あなた誰なの?」

再び問う彼女の顔を覗き込み、答える。

「僕はレイ。君の…お目付け役だよ」

嘘じゃない。嘘じゃないのに心が痛んだ。

ふわりと微笑む少女。さっきまで血に塗れて色がなかった頬が赤く染まる。

「よろしく、セレナ」

偽りの少女の名で呼んでみても、彼女は怪訝な顔もせずこくりと頷いた。それはつまり全て忘れている、ということで。


悲しむべき状況でひそかに歓喜の声をあげる自分を軽蔑した。

何も悪くないこの子を自分勝手な理由で選んで蘇らせたのは自分なのに。
あの時、誘惑に負けたのは自分なのに。

全て隠して暗い暗い土の中に埋め込んで。
今更、私は何を望む?

この子を地獄に引きずり込んで、誰も救われはしないのに。